電車と骨と思う

生まれて初めて父親と二人で電車に。
うわあ自分で運転しないのに動いた、と騒ぐ。
切符の買い方から電車の乗り方まで新鮮に楽しい。
夜になって、白骨が家に来た。
祖母の足である。
八十年間動き続けた身体の一部は、
静かだが圧倒的な迫力である。
今夜は同じ部屋で寝る。
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川端康成の『美しさと哀しみと』の中に出てくるのだが、
『思う』という言葉を辞書で引くと
「恋しがる」
「悲しむ」
「忘れられない」
という意味だそうだ。
日本語は時折そうやって痛々しい。